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GM Seirawan式チェスの5大要素
Yasser Seirawan Anatoly Karpov
棋譜解説ではなく、ストラテジー解説です。
400字詰原稿用紙6枚以上の文字数があるのでお覚悟を・・

皆さん、セイラワンさんはご存知でしょうか?
過去キャンディデイトにも選ばれ、最前線で戦っていたアメリカのチェスプレイヤーです。
最近はトーナメントプレイヤーとしてではなく、解説者・教育者としてチェスと関わっています。
非常にユーモラスで優しく、解説が非常にわかりやすいと定評があります。

さて彼の言う、チェスの5大要素について一般的な解説は以下の通りです。

【マテリアル】 駒の価値を点数化したものの総合計
【キングセーフティー】 キングの安全度
【時間・展開】 駒が何個展開されているか、キャスリングは終わっているか等
【スペース】  ポーンで囲まれた陣地の広さ
【ポーン構造】 ポーンの好型・悪型


ここから私の個人的な見解を交えながら、細かく解説したいと思います。

【マテリアル】

5つの概念の中で一番理解しやすいので、最初に会得する概念だと思います。
チェスは結局のところ、数の暴力、利きの足し算というのが有力です。
他の4要素が拮抗している状態で、2点以上差がつくと評価値は敗勢でしょう。
代償があるのならいいのですが、ピースダウンはもちろんポーンダウンも絶対ダメです。
ポーンダウンしたせいで、相手のプロモーションが受からない・・なんてよくありますからね。

☆Tips☆

より細かい話をすると、局面によって駒の価値というのは変わってきます。
エンドゲームになるにつれてルークやポーンの価値が上がり、
ポーン構造によってナイトやビショップの価値が変動するイメージです。

一般的に言われている、ピースの組み合わせの相乗効果としては
2ビショップ>他のマイナーピースの組み合わせ
2マイナーピース>ルークとポーン (序中盤)
3マイナーピース>クイーン
だと思います。


【キングセーフティ】

「最近のチェスはポーン構造だのなんなの煩い。チェックメイトが試合を終わらせるんだ」
カスパロフと世界チャンピオンの座をかけて戦ったショートの言葉です。
”チェックメイト”が試合を終わらせるのであってチェックはチェックです。
自分の攻撃は単発で終わるのか、連続性があるのかというのは大局観と計算能力が必要です。
典型的なメイトパターンを覚えて、対局中に似ているなと思ったら計算するのが実戦的かなと思います。
覚えるべきパターンは、キャス前のfポーンアタック、キャス後のバックランク、窒息メイト等でしょう。
メイトの基本は(自分の攻撃駒)ー(相手の防御駒)>=2 です。
意識してできればちょっと強く、無意識にできればすごく強くなれると思います。


☆Tips☆
キャスリング後のキングサイドのポーンは無闇に動かすなという話はよく聞きますね。
個人的にhポーンを一つ上げるのは、バックランクメイトを防いだり実戦的と思っています。
(ただし、同方向にキャスリングした前提)
あとfポーンを突いたらキングをhファイルに逃げるのもセットで覚えましょう。

守り駒として優秀なのはf3ナイト、フィアンケット後のg2ビショップです。
キングサイドに一枚あるだけでぐっと防御力が上がります。
必要な時まで動かさないと覚えておきましょう。

【時間・展開】

カタカナで書けば、タイム・ディベロップメント・テンポだなんて言ったりします。
自分に駒がいくらあっても、バックランクでお休みしていては意味がありません。
どんどんバックランクから出して、盤面を支配していきましょう。
序盤で無意味に同じ駒を二回触るのはテンポロスとなります。

また、効果的な位置というのがそれぞれの駒にあります。
ナイトはf3やc3だったり、ビショップはポーンにとらわれないようにしたり、
ルークはオープンファイルだったり・・・
効果的な展開というのは、数手後の局面を想定しないと指せないので難しいのですが、
それがチェスの醍醐味だったりしますね。

☆Tips☆
相手に取らせて、取り返すテクニックというのがあります。
代表的なのはモーフィーのゲームですね。
1.e4 e5 2.Nf3 d6 3.d4 Bg4? 4.dxe5! Bxf3 5.Qxf3 dxe5
ここでそれぞれのピースの動きについて解説します。

白はナイトを一回、クイーンを一回動かしています。そして盤面には一回動かしたクイーンが残っています。
それに対して黒はビショップを二回動かしています。盤面に動いたピースは残っていません。
差し引き、白は一手余分にクイーンを動かしていることがわかるでしょうか?

一見お互い自然に見える動きで白は一手得をしています。
こういう一手得の積み重ねが、最終的に白の勝ちと結びつきました。


【スペース】

どこが自分のスペースなのか?どのくらい強力に支配しているのか?の二つがポイントですね。
端を支配するよりも、センターを支配するほうが良いです。
そして、ポーンを突いて自分の陣地が広いだけでは意味がありません。
相手からのカウンターを未然に防ぐために、ピースでしっかり支えて初めて支配しているといえます。

スペースが広いと二つのアドバンテージがあると思います。
一つ目はプロモショーンのスレットが相手よりも強力ということ。
二つ目はスペースのおかげで自分はのびのびと駒を動かせるということです。
初心者におすすめなのは、白黒同じくらいのスペースがある定跡です。

☆Tips☆
スペースが狭い側は駒交換しろって話はよくありますよね。
ただ、広い側はいくらでも駒の逃げ場所があるので、うまく駒交換を躱せることが多いです。
また狭い側の利点として、後だしジャンケンができるというのがあります。
ポーンはバックできないので、相手のポーン形を見てからそれに対して有力な形を作るというものです。
ハイパーモダンという考えですが、なかなかに会得の難しい概念です。


【ポーンの好型、悪型】

局面によるとしか言えませんが、ポーン構造には悪型や好型があります。
文章化するのは難しいので、指針を箇条書きにします。

・相手の駒をどっちのポーンでとるか悩んだら、端から中央へ向かう手を指せ。
・無意味な孤立ポーンは避けよ。
・ダブルポーンの強さと弱さがわかれば一人前。
・オープンファイルにいるバックワードポーンは非常に守りにくい。
・ポーンが動いたら、互いのホールをチェックせよ。
・ポーンの形をみて、互いのピースの理想ポジションを考えろ。

棋譜解説は特にしませんが、セイラワンvsカルポフの試合です。
カルポフはもちろん名高いチャンピオンの一人ですが、
トリッキーなマヌーバリングで見事にセイラワンが勝利しました。





1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 ... 閲覧数: 88 18年08月05日